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学長 2020年度入学式告辞
― 科学マインドをきたえよ ―

入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。大学を代表し、心よりの歓迎を申し上げます。


皆さんはおそらく、大きなよろこびとともに、多少の不安をかかえて、この式に臨んでいることでしょう。新型コロナの脅威の中、皆さんの学修がはじまりますが、公立小松大学は、可能なかぎりの予防対策を講じて、皆さんの大学生活を支えて行きますので、どうぞ、ご安心ください。


 1990年頃、皆さんのような若い人が突然奇妙な言動をしはじめたら、思い浮かべねばならない病気がありました。脳エイズが、それです。当時、エイズは、地球に出現したばかりの感染症で、死に至る病として恐れられました。勇気を以て、これに挑んだ日本人がいました。満屋裕明という医学研究者です。満屋先生は、同僚たちがエイズウイルスをいやがるので、深夜に独りで実験する毎日を送りました。そうして、薬を開発し、エイズを直る病気にしたのです。


 早晩、新型コロナに対する予防・治療薬も、開発されるにちがいありません。科学は、きっと、勝利します。どのように勝利するか、皆さんには、ぜひ注視していてほしいと思います。


 ところで、エイズもインフルエンザもコロナも、原因となるウイルスのゲノムはRNAです。RNAの生物学的作用を世界ではじめて記載したのは、岡本肇という小松市出身の研究者です。皆さんは、そういう学者も輩出したこの地で学ぶことも知ってほしいと思います。


 大学での学びで重要なことの一つは、文系理系を問わず、科学のマインド、すなわち科学的な見方・考え方をきたえることです。これは、卒業後、科学技術の発達をキャッチアップしたり、社会・時代の変化に対応してゆくうえでも、重要です。今日、障がいをもつ人にもさまざまな国家資格を得るチャンスが開かれています。これは、科学の基礎がしっかりしていれば、十分活躍が期待できるとの認識に基づいています。


 公立小松大学に入学された皆さんの、科学マインドをきたえる教育は、早速来週から、そのための準備は、今日からはじまります。それは、皆さんの未来づくりのはじまりでもあります。


 ともに、がんばりましょう。


令和二年四月二日
公立小松大学 学長 山本 博