入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。保護者の皆様にも、心よりのお祝いを申し上げます。
すべての学科および専攻で募集人員以上の入学者を得、本日、ここに、学士課程5期生二百四十八名、大学院修士課程1期生二十三名の皆さんをお迎えして、入学宣誓式を挙行できますことを、真にうれしく慶賀に存じます。
本学の学士課程と修士課程は、ともに、「持続可能性への貢献」という共通の理念を有しております。
200年ほど前に比べますと、人類は格段に長生きで裕福になりました。これは、しかし、犠牲を払ってのことでした。連日、1万ヘクタール以上の緑地と100種以上の生物種が、地球上から失われています。運命共同体である地球と生命の将来にわたる存続を可能にするために必要な方向性、それが、「持続可能性―sustainability」にほかなりません。
公立小松大学設置の基本理念の一つは、「持続的発展に向けて生産システムや人間の健康医療の科学技術を革新し、異文化交流を促進する」ことであります。大学院サステイナブルシステム科学研究科も、「人類と地球の未来を視野に入れた教育・研究・社会連携活動を展開し、地域・国際社会の持続性への貢献をめざす」と基本理念に謳っています。
ここに来て、わたしたちはいま、ヨーロッパで起きていることに、心を痛めています。SDGs Sustainable Development Goalsは、2030年までの国連の約束事ですが、第十六「平和と公正」が危うくなると、他のSDGsも如何に危うくなるか、それを世界は痛感しています。平和の早期回復を、皆様とともに祈念したいと思います。
さて、公立小松大学は、小松市民によって設立された大学であります。一般市に総合大学として創立された公立大学は日本で5つしかなく、わたしは、市民の熱意にとても感動を覚えました。5年前の6月1日、文部科学省の実地審査で、審査委員から学長予定者としての存念を問われたとき、わたしは「愛児愛校愛地」と応えました。「愛児」、すなわち、学生たちを愛する、「愛校」、大学を愛する、「愛地」、地域を愛する、ということであります。そして、翻って、学生たちと大学が市民、地域から愛される、そういう大学でありたい、と説明しました。これは、いまも変わることのない、本学を担当するにあたっての、わたしの「初心」であります。ぜひ今日お迎えしました皆さんとも力を合わせ、大学と地域との良好な連携も推進してまいりたいと考えております。
最後に、新入生の皆さんお一人おひとりの学業の成就と、本日ご参集のご一同様のご健勝、弥栄、益々のご発展を祈念し、告辞といたします。