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学長 2023年度入学式告辞
告辞

― グローカル人材、小松、白山 ―

 入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。保護者の皆さまにも、心からお祝い申し上げます。ご来賓の皆さまには、本学への日頃のご支援と、本日のご参列に感謝申し上げます。
 さて、本日ここに、学士課程二百四十四名、大学院修士課程四月入学十六名の皆さんをお迎えし、入学宣誓式を挙行できますことを、真に慶賀に存じます。
 本学は、基本理念の一つに、「地域と世界で活躍する人間性豊かなグローカル人材を育成する」と謳い、大学院にも名称が「グローカル」ではじまる専攻を設けています。「グローカル」とは、global and local。Oxfordの辞書にも、2015年から登場しています。グローバルもさまざまな地域の集まりですから、世界の問題を考えるには、地域に根ざした視点も欠かせません。他方、地域の課題を解決していくうえでも、グローバルな視点が大切です。皆さんには、そういうグローカルな視点を、学生時代から意識して培っていってほしいと思います。
 小松あるいは南加賀は、そのためのいいモデルになりえるでしょう。小松には、産業都市、文化都市、健康都市、国際都市、教育都市など、いろんな顔があります。私が小松と似ていると感じる都市は、スペインのバルセロナです。山にも海にも近い。小松には、奇岩に囲まれた名刹―那谷寺、バルセロナには、ナポレオンの軍勢にも屈しなかった奇岩城―モンセラット修道院があります。バルセロナの交差点を空から見ますと、十文字ではなく、八角形です。交差点の角の家が、面取りされて五角形になっているからです。小松の主要な交差点も、八角形。なぜだと思いますか?それは、江戸時代からつづく子ども歌舞伎の曳山や、お神輿を通すためです。ですから、小松は祭りの町、遊びの町ともいえます。バルセロナの交差点が八角形なのは、汽車を通すように設計されたためです。バルセロナは古くから交通に熱心で、鉄路も空路も発達させました。
 ここに来て、皆さんが在学中の来春には、小松に新幹線も走るようになります。すると、小松とバルセロナはさらに似てくるのではないかと思います。
 ところで、この南加賀の地で、ひときわ目立つもの。それは、白山です。この季節、日本海に出ますと、晴れた日には、海の青と空の青とを画する、真っ白な白山を望むことができます。古えの大陸からの渡来人や、海運や漁業を行う人々にとって、白山は、特別なランドマークたりえました。太平洋から望む富士山や、地平線上に現れるエジプトのピラミッドに比肩できようかと思います。
 白山は独り聳えます。本日入学された皆さん一人一人が、白山のように、やがてそれぞれの分野やもち場で第一人者となられるよう念願いたします。白山はまた、高きがゆえに、雲を伴い、ふもとにうるおいをもたらします。皆さん一人一人も、将来の地域・国際社会にみのりをもたらす、大きくひろやかな存在になってほしいと思います。
 新入生の皆さんの学業の成就と学生生活の充実を祈り、併せて、本日ご参集のご一同様のご健勝、弥栄、益々のご発展を祈念し、告辞といたします。


令和五年四月二日
公立小松大学 学長 山本 博