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理事長 2023年度入学式式辞

 244名の学部新入生のみなさん、20名の大学院に進学されたみなさん、入学と進学、誠におめでとうございます。公立小松大学は挙げて諸君を歓迎します。5年前に開学した本学は、昨年3月の第1期生に引き続き、先月第2期の卒業生を送り出して、各学部は一足一足の着実な歩みを続けており、大学院についても、更なる充実を企図しております。しかし、総じてみれば、本学はまだまだ整備の途上にあり、さらに優れた教育研究機関となるために、一層の努力を重ねる所存であります。諸君は、懸命に勉学と課外活動に打ち込み、本学発展の途を教職員や周囲の市民県民の方々とともに歩んで頂ければ、幸いこれに過ぎるものはありません。
 本学が、今日を迎えるまでには、設置者たる小松市当局、市議会の方々、関連大学・学界の方々、本学を支える会の皆様には格段の御高配を賜りました。さらに広く小松市民、石川県民や全国の本学に関係される皆様、関係諸官庁の方々からも様々な御支援を頂きました。心から御礼申し上げます。本当に、ありがとうございます。
 我が国では、昨年から、18歳で成人に達することになりました。今日、本学の門をくぐられた全ての諸君は成人であり、大人であります。ただ、大人とは言え、18歳から20歳までの人は、20歳以上の人とは違う扱いの規定がありますから、それぞれの法律は固く守ってください。
 さて、大人とは、いかなる人のことでしょうか。私は、自らの行動に責任を持ち、他人のことをよく思いやる人ではないかと思います。
 しかし、言うまでも無く、人間は全て自分のために生きています。人間のみならず、生きとし生けるもの全てが同じであります。38億年前か40億年前か、この地球上に生物が発生して以来、それぞれの生き物は、自分の生命を全うし、自分の形質を後世に伝えるために全力を挙げ、自己と子孫の維持をかけた壮絶な、しかし素晴らしい物語を紡いできました。生き物が今日あるのは、生命をつなぐという本能に加えて、少なくとも人間に関しては、強い生きる意思を持ち知識と経験を蓄積してきたからであります。我々はかくして生きています。私個人で言えば、先の大戦末期、4歳に満たない幼児でしたが爆撃機の音だという大人の声に、ほぼ反射的に死にたくないと蒲団棚に籠り、さらに防空壕に逃げ込みました。幸い小松には爆弾は落ちず、私は命を失わずに成人して、社会人として生き続け、結婚し、子供を持ち、今や後期高齢者となっております。
 我々は一人では生きてはいけません。社会を相互依存して生き続けるためには、自分同様、他人も極めて大切であり、自分のために生きることは、他人をよく慮ることであります。他人を思うことの多い人ほどよく生きることができるでありましょう。みなさん、「おもいやり」。この5文字をどうか心に刻んでください。
 ウクライナでは激しい戦いが続いていますが、コロナ禍ようやくおさまりつつある昨今、学問の伝統が豊かに薫るこの小松で、どうか実りある学生生活を送って下さい。我々はそのために全力を尽くすことをお約束して、歓迎の式辞と致します。


令和五年四月二日
公立大学法人公立小松大学
理事長 石田寛人