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令和4年度 学長 学位記授与式告辞
告辞
― 六然、Leave、こまつから未来へ ―

 卒業生の皆さん、所定の学業を卒えられ、本日ここに、めでたく学士となられましたことを、心よりお祝い申し上げます。皆さんが得られましたBachelor of Science in Engineering、Bachelor of Nursing、Bachelor of Clinical Engineering、Bachelor of Intercultural Studiesは、一生を通じて国際的にも通用する称号であります。
 さて、些かの惜別の情と、前途の光明への希いとともに、皆さんに二つのことばを贈りたいと思います。
 一つは、明時代の陽明学者、崔銑(さいせん)のことばです。崔銑は、人々がいろんな情況に臨んだ場合の心構えを六つの然、「六然(りくぜん)」として説きました。曰く、「自らに処するに超然 人に処するに藹然 有事斬然 無事澄然 得意澹然 失意泰然」。
 この先、皆さんは、職種を問わず、人と接しなければなりません。処人藹然、春の山野のように、心おだやかに人に相(あい)対し、ともに歩んでください。かつて私はある国で、歴史的な反日のさ中、ただ一人の日本人として、会議に参加していたことがあります。白眼視の中、心に抱いて過ごしたのは、処人藹然の四文字でした。藹然の藹は、和気藹々の藹です。
 得意澹然 失意泰然。この先には、今日のように得意の日もあれば、失意の日もあるでしょう。如何なるときも、澹々、あるいは泰然と、動ぜずに過ごして行ってください。
 もう一つは、私の自作の詩です。お手元に配布させていただきました、さくら色の紙にあるのがそうです。皆さんは、入学の頃から、折にふれ、「こまつから未来へ」という本学のキャッチコピーを、目にしてこられたかと思います。このキャッチコピーの元となったのは、じつは、この詩でした。「こまつから未来へ」。それは、今日にこそ相応しいと思われますことから、一部省略しますが、皆さんに披露し贈りたいと思います。


Leave.
In this single word are
two meanings:
to depart, and
to stay behind.

We are sharing today
the very reason why.
No one can depart
without someone staying behind.
The two are sides of one value.
(中略)
Leave.
Today we get together to do so.
Some start soon.
The rest then remain?
No. Everyone leaves for the future.

You are now leaving
with triumph of graduation,
leaving friends
with fond fare-wells.
Leaving for another self-realization.
(後略)


 皆さんはいま正に、巣立とうとしています。小松に残る人も、小松を離れる人もいます。どちらがいいというわけではありません。共通していえるのは、誰もが未来へと旅立ち、新しい自己を実現することだと思います。こまつから未来へ、公立小松大学から未来へ、羽ばたいてください。
 卒業する皆さんの前途に幸多かれと祈り、併せて、本日ご参集の皆さまのご健勝と弥栄を祈念し、告辞といたします。


令和五年三月二十三日
公立小松大学 学長 山本 博