ホーム大学案内理事長、学長あいさつ > 令和6年度 理事長 学位記授与式式辞
大学案内
令和6年度 理事長 学位記授与式式辞
式辞

 本日、公立小松大学が大きな喜びとともに世に送り出す230名の学部卒業生の皆さんと、16名の修士課程修了生の皆さん。ここに、心からなる祝福と感謝の言葉を申し上げます。皆さん、おめでとう。そして本当にありがとう。

 思えば、学部卒業生の皆さんのほとんどは、創立後3年の本学に学ぶことを志されました。修士修了生の皆さんは、大学院第2期生であります。設置間もない本学に飛び込んで学びの道を歩まれたチャレンジ精神溢れる皆さんに対して、その熱意に応えるべく、私ども教職員は、懸命に教育研究の日々を重ねてきました。

 皆さんの在学中、コロナが猖獗を極め、能登半島地震などの大きな自然災害が発生しました。私どもは,尊い命を失われた方々の御冥福をお祈りするとともに、能登半島や被災地域の速やかなる復興を願うばかりですが、そんな中で、日々の研鑚が実って、皆さんが、今日の卒業と修了の日を迎えられたことに対して、皆さんと御家族の方々に深甚なる敬意と感謝の気持ちを捧げます。

 もちろん、私の感謝の気持ちは皆さんに対してのみに留まるものではありません。小松市民の皆様、宮橋市長様をはじめとする小松市当局や新田議長様をはじめとする市議会議員各位、周辺地域や石川県下の皆様、国の関係府省庁の方々、連携する国内外の諸大学や学界の先生方、協力会を組織して頂いた各企業と関係団体の皆様、大学の審議会、委員会委員や顧問の皆様。本当に多くの方々の御尽力の結果として、本学は、教育研究活動を重ね、こうしてここに学位記授与式を挙行しているのであります。誠にありがとうございます。幾重にも御礼申し上げます。

 卒業生・修了生の皆さんが社会に旅立つこの2025年は、21世紀の4分の1が過ぎ、私達の社会が大きな節目を迎える年であります。我が国の社会構造がいよいよ大きく変わることに対応する2025年問題の克服が重要な課題となっています。 それとともに、近年進歩が著しいAI(人工知能)に対する本格的取組みがいよいよ喫緊の課題となっているのがこの2025年であります。

 今や、我々は、AIに取り囲まれて生きており、個々の計算やその論理的集積による推論なら、機械はとっくに私たちを追い抜いています。近い将来、AIが人間にとって制御不能なものになるかどうか、その議論はともかくとして、我々は、人間が創り出した人工知能をいかに活用してウェル・ビーイングに結びつけるか、この難題にいよいよ真正面から取り組まなければならなくなっています。
 そんな人工知能を発達させた私達人間も、大きな自然に対しては、無力であります。各種の自然災害を思うにつけても、卓絶した自然の力の大きさをひしひしと感じます。誕生してから138億年のこの宇宙の中では、ケシ粒のような地球の上に生きる私達はとても小さい存在でありますが、幸いにも我々ホモ・サピエンスは、人工知能をここでまで発達させるほどの頭脳に恵まれています。そして研究と教育によって獲得し、体系化し、伝承する膨大な知識を叡智に替えて、更なる高みを目指そうとしています。今日、この学び舎から巣立つ卒業生・修了生の皆さんは、AI技術の進展などの社会経済の動向には敏感に対応しながらも、眼前の傾向に引きずられることなく、理性と感性のバランスをしっかりとって、どっしりと生きていかれるよう念願します。

  私は、理事長という立場上、皆さんと授業で接することはありませんでしたが、皆さんの日々の行動をじっくり見守ってきました。そして、いつも元気づけられてきました。感謝しかありません。その皆さんに、公立小松大学の卒業生・修士課程修了生として『誇りと自信』をもって力強く生きてほしいと申し上げ、皆さんに「幸多かれ」と念じつつ、私の式辞を締めくくらせていただきます。


令和七年三月二十三日
公立大学法人公立小松大学
理事長 石田 寛人