ホーム > NEWS 一覧 > 研究 > 中村誠一特別招聘教授を中心とするマヤ文明国際研究チームが、ホンジュラスの世界遺産「コパンのマヤ遺跡」で発掘した古人骨のゲノムデータ取得と解析に成功しました
  • 中村誠一特別招聘教授を中心とするマヤ文明国際研究チームが、ホンジュラスの世界遺産「コパンのマヤ遺跡」で発掘した古人骨のゲノムデータ取得と解析に成功しました
     

     公立小松大学次世代考古学研究センター長の中村誠一特別招聘教授が研究代表者を務める、科研費基盤研究(S)「パレオゲノミクスによるマヤ文明コパン王朝のダイナミクス解明」(2022∼2027)の国際研究チーム(公立小松大学、金沢大学、ダブリン大学、ホンジュラス国立人類学歴史学研究所で構成)は、最盛期マヤ文明の諸都市が存在したグアテマラ北部からホンジュラス西部で調査研究を続けていますが、このたび謎のコパン王を含む発掘した7体の被葬者の古人骨から、中米の高温湿潤地域出土の人骨としては世界で初めてゲノムデータを取得・解析することに成功し、国際学術雑誌Current Biologyのオンライン版に5月29日付で発表しました。

     中村特別招聘教授率いる考古学プロジェクトが、過去40年間にわたり中米のマヤ文明高温湿潤地域における発掘調査で発見し、登録・保管してきた埋葬数は250個体以上に上りますが、特に、マヤ南東地域における中心的都市コパンにおける埋葬はこの地域におけるマヤ王朝の起源や歴史的ダイナミクスの解明に重要です。

     今回は、その中で王家の中心地アクロポリスの外の「王墓」から見つかり、謎の王とされている10J-45被葬者をはじめ、その王に捧げられた生贄と考えられる被葬者など、5世紀から9世紀にかけてコパンの支配者層が居住していた2グループ計7個体から高精度のゲノムデータの取得に成功しました。

     これまでも人骨の歯から採取した安定同位体分析により、10J-45「王墓」被葬者が、コパンの外からやって来た人物であるということは示唆されていましたが、その具体的な出身都市やマヤ王家同士のつながりは依然分かっていません。今回実施された集団ゲノミクスによる解析結果からは、コパンの住民が王朝創始期にメキシコやベリーズなどの北部地域、特にメキシコ中央高原地帯と交流していたことが示唆され王朝の起源に関する重要な洞察が得られました。

     また、これまで考古学的には、最盛期である「古典期」の終わりに高温湿潤地域にあるマヤ文明諸都市は放棄され、中心部の古典期マヤ文明が崩壊したという仮説が唱えられてきましたが、今回のゲノム解析結果は、そのシナリオが独立したゲノムデータからも示唆されており、マヤ文明のダイナミクス解明への貢献が期待されます。

     

     

    担当:公立小松大学次世代考古学研究センター

    https://komatsu-u-ngas.jp/index.html

  • NEWS 一覧 イベント ニュース 研究 入試